2007-01-01から1年間の記事一覧

ジェノサイド研究と2つの実験

War

スタンフォード監獄実験(SPE)やミルグラム実験をなぜ詳しく知りたいかと言えば、この2つの実験がジェノサイド研究において重要だからである。

Philip Zimbardo "The Lucifer Effect"ISBN:0812974441

スタンフォード監獄実験(参照)を行った心理学者フィリップ・ジンバードの著書。ジンバードが実験について総括的な本を書くのは本書がはじめて。だいたい本の前半分が監獄実験の詳細な経過を綴ったもので、後半分が実験の帰結といったところ。よくできた公…

追記した

ピーター・シンガーのレポートの要約を一応アップした(参照)。ただ、思ったより長かったのと、読みながらだらだらメモしたものを並べ替えて、ちょっと手を加えただけなので、まとまりは悪い。書き直そうと思ったが、気力がでなかった。 PMFについては前に…

"Can't Win with Them, Can't Go to War without Them"

このあいだのブラックウォーターの事件に関して、『戦争請負会社』著者のピーター・ウォレン・シンガーのレポート。サマリーから一部引用すると── The use of private military contractors appears to have harmed, rather than helped the counterinsurgen…

マット・タイッビ「9/11陰謀論の望みゼロのバカさ加減」

けっこう前に翻訳は終わっていたが、「9/11陰謀(自作自演)論なんてもう下火だろし、趣味がいいとは言えない内容なのでしまっておこう」と考えていた。しかし、kikulog - 11th of Septemberでもこの記事について何度か触れられており、出すこともそれなりに…

イスラエル・ロビー本、続報

このエントリの続き。 『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1』を本屋で見てきたが、副島本人が訳しているわけではないようだ。そのあたりの事情は本人のページ(魚拓)に書いてある。あの独特すぎる文体でめちゃくちゃにされると思っていたので、ち…

ソ連ポスターブログ

ソ連のポスターを一日一枚ずつ紹介していくブログ。ポスターだけでなく、作者や背景についても解説してくれる。各エントリのタイトルが秀逸。 作者は同じ形式でキューバのポスターのブログも作成している。

ミアシャイマー、ウォルトのイスラエル・ロビー本が出版

このブログでも何度かとりあげたことのあるミアシャイマーとウォルトのイスラエル・ロビーについての論文が、内容を膨らませて本になった。タイトルは"The Israel Lobby and U.S. Foreign Policy" ISBN:0374177724。 ちょうどいい、だいたいニュースは追って…

8月も終わりだ!

一ヶ月以上更新しなかったか。 「ティモシー・ガートン・アッシュが『善き人のためのソナタ』を批評してて、あまりにぴったりで爆笑」「イグナティエフのmea culpaみたいなエッセイが意味不明瞭すぎて失望」「ブッシュのいろいろな意味で歴史に残る演説が2…

William Gibson "Spook Country"ISBN:0399154302

ギブスン新作出るのか……。New YorkerのBriefly Notedから。 前作の小説と同じく、ギブスンはキャリアの大半を費やしてきた近未来のディストピアを捨て、ディストピア的現在を描いている。このディストピア的現在、つまりポスト9/11のアメリカは、ユビキタス…

メル・ギブソン『アポカリプト』

アポカリプト? っていっても最後の審判じゃないのか、となるとメルギブの原理主義ワールドにどう接続するのかな……と、ずっと思ってたが、精神においてはだいたいこういうことだった(強調引用者)。 彼[ベネディクト]は、15世紀のヨーロッパ人探検家たちの…

Billionaire and Netanyahu-ally Gaydamak to start his own party

ロシア生まれのイスラエル市民でビリオネアのアルカディ・ガイダマック(Arkadi Gaydamak)がイスラエル政界進出を発表。党名は社会正義(Social Justice)であるが、政党ではなく社会運動であり、社会・経済的問題に特化した運動になるとガイダマックは記者…

Bin Laden's useful idiot?

Juan Cole先生のブログで知った。あまりに信じがたい失言なので思わずWhite Houseのページで真偽を確かめてしまった。公式のスピーチなので、ブッシュ個人の意見表明ではなく、スピーチライターが書いてこれっていうことなのか? 本当にそこまで理解力がない…

フィッツロイ・マクリーン

War

ロリー・スチュアート(参照)の著書の書評を読んでいて、この名前に何度かぶつかった。wikipediaのエントリを読むとすさまじい経歴の持ち主だったので、そこから簡単にまとめておく。日本語で言及しているページは見あたらなかったが、たぶん一部では有名な…

プーチンの三選はあるか

友人とのあいだでたびたび出る話題にロシアの次期大統領のことがある。独裁者的人物に弱みのある友人はプーチンが三期目も務めると決めてかかっているふしがあるが(「ロシアの新しいツァー! まちきれない!」)、自分はそれはないと思っているし、識者の意…

最高の表紙

ロシアで思い出した。最近再発されたPenguin Classics版の『世界をゆるがした十日間』の表紙がすばらしすぎる。英語版なので同志レーニンと同志トロツキーの素敵写真も載ってるはず。

同志グロスマン! (追記あり)

友人のmixiで知った。ワシリー・グロスマンの"A Writer at War"が翻訳されるそうだ。邦訳タイトルは『赤軍記者グロースマン 独ソ戦取材ノート1941-45』*1。 グロスマンについては前に書いたエントリを参照。ついでに、最近買った英語の本で「翻訳されないか…

今でなければ いつ?

仕事内容が変わったせいで残業&過労気味。家に帰ると溜まった米英主要紙などのRSSを見て、ちょっと読書したら寝る時間。休みは休みでやることあるし、ブログを書く暇はなかなかない。 というわけで、しばらくはほぼ休止状態が続きそうです。

デイヴィッド・ハルバースタム死去

もう一週間以上前の話になるが。取材へ向かう途中での交通事故死。ハルバースタムはまだ現役で活躍していたので、不慮の死が惜しまれてならない。 自分がハルバースタム作品で読んだのは、『ベスト&ブライテスト』、『メディアの権力』、『ザ・フィフティー…

第二次レバノン戦争の中間報告書が発表

オルメルト内閣によって任命されたウィノグラッド委員会による第二次レバノン戦争の中間報告書が発表された。今回の報告書は戦争の最初の5日間が対象。それ以降の部分については夏に出る完全な報告書で扱われる。 報告書は戦争のデシジョン・メイキングに責…

Rolling Stone、40年分をDVDにアーカイヴ化

雑誌Rolling Stoneが創刊40周年を記念して、1967年の創刊以来の記事、写真、レビューなどの全内容を収めたDVDを発売。予価は120ドル。 以前書いたThe Complete New Yorkerと同様の試みで、同じソフトウェア会社がアーカイヴ化を手がけている。 また、Playboy…

カート・ヴォネガット死去

SF

いろいろ考えると驚くほど長生きしたといえるけど……

ジョー・サッコの"Palestine"と"Safe Area Gorazde"

こっち方面は疎いので、こういう作品が書かれているとは今日まで知らなかった。Amazonの紹介部分が珍しく翻訳してあるのでそこを読んでほしい。自分の場合、「なか見!検索」が上手く働かなかったので、Amazon.comのほうもリンクしておく。 "Palestine"(Ama…

ガスプロム・シティ?

ロシアの超巨大国営ガス会社ガスプロムが本社をモスクワからサンクト・ペテルブルグに移すという話。 これはプーチン大統領の出身地であるサンクト・ペテルブルグ開発計画の一環で、この計画の名前がガスプロム・シティということらしい。友人にこの話をした…

ロリー・スチュアート

最近知った人物だがすごすぎる。往時の大英帝国が定期的に産出していた才能あるエキセントリックなオリエンタリストの風情。ただ、外見はそこら辺の兄ちゃんにしか見えない。

ビーイング・マイケル・イグナティエフ

サマンサ・パワーの"A Problem from Hell"の翻訳出版がもう1年近く遅れており、友人がブツブツ文句を言っているので、「イグナティエフでも読んでみたら」と勧めてみた。イグナティエフをハーバード・ケネディ行政大学院のカー人権政策センター(the Carr C…

イタリア-クロアチアの歴史論争

イタリアとクロアチアのあいだで歴史解釈をめぐって論争が起こっている。 2月10日、第二次世界大戦時ユーゴスラビアで殺害されたイタリア人を記念する式典で、イタリア大統領ジョルジョ・ナポリターノが次のような演説をした。 「大波のような憎しみと流血…

いやあ

Web

どうもモチベーションが下がって更新してなかった。RSSでニュースを大量に見るようになったのでネタには事欠かないのだが、書く気が湧かず。 「ワジリスタンにジャララッディン・ハッカニのネットワークがまだあるのか!」「ガーディアンにトニー・ジャット…

ポール・グリーングラス、イラクの映画を撮る?

BBCの記事によると、ポール・グリーングラスがイラクを舞台にした映画の撮影を計画していることをアナウンスした。 原作はこのあいだ採りあげたRajiv Chandrasekaranの"Imperial Life in the Emerald City: Inside Iraq's Green Zone"。どういう映画になるの…

Invading Somalia is no recipe for stability

ソマリアの紛争について書いているFinancial Timesの社説。ほとんど付け加えることはない。すごく乱暴に短くまとめるとこんな感じか。イスラム法廷連合は十数年以来初めてソマリアに秩序に近いものをもたらしたが、あの国の状況を考えれば驚くべき達成といえ…