ミアシャイマー、ウォルトのイスラエル・ロビー本が出版

このブログでも何度かとりあげたことのあるミアシャイマーとウォルトのイスラエル・ロビーについての論文が、内容を膨らませて本になった。タイトルは"The Israel Lobby and U.S. Foreign Policy" ISBN:0374177724
ちょうどいい、だいたいニュースは追ってきたし、簡単に論文*1やその後の論争*2について触れておくか、でも内容が内容だし、いろいろcaveat(断り書き)をつけるのが面倒くさいよな、そもそもあまり健康的な議論にならないし*3……とか考えていたら、日本語訳がほぼ同時出版されることを知る。それで、訳者を見てみると……
副島隆彦! オワタ\(^o^)/
しかし、本当に冗談じゃすまされないなあ。ミアシャイマーとウォルトは訳者がどういう人間かわかってないんだろう(と思いたい)。2人にとって、こういう陰謀論者と関連付けられるのは最も避けるべきことのはずだ。メールするか。だが、副島隆彦のカラフルな活動をどう説明すればいいのやら……
まあ日本語版を手に入れて、間違いなく付くであろう副島の“解説”を読んでからだな。単にそれを部分訳して送ればすむ可能性が大だし。

*1:反ユダヤ主義だとはもちろん思わないし、批判派の反応は異常だと思うが、ロビーという語の定義が粗雑(AIPACなどの普通の意味でのロビーだけではなく、シンクタンクや親ユダヤ的な個人も含まれる)で、陰謀論と批判されてもしかたない面はある。イラク戦争に関するロビーの役割については十分説得的とは言えない。

*2:Foreign Policyでの論争や、ここで触れた討論会がネットでみれるようになったとか。トニー・ジャット先生も論争の余波を受けていろいろ大変なことになってるとか、論文に関してはNew York Review of Booksのマイケル・マッシングのエッセイがすばらしかったとか。

*3:イスラエル・ロビー”や、“フィンケルシュタイン『ホロコースト産業』”で検索すると意味が分かる。「中共ユダヤプロパガンダ手法を学んでいた!」みたいな話がいっぱい聞ける。こういう残念なレベルの言説ばかりを目にすると、論文批判側の危惧も正しいと思えてしまう。