ポール・グリーングラス、イラクの映画を撮る?

BBCの記事によると、ポール・グリーングラスイラクを舞台にした映画の撮影を計画していることをアナウンスした。
原作はこのあいだ採りあげたRajiv Chandrasekaranの"Imperial Life in the Emerald City: Inside Iraq's Green Zone"。どういう映画になるのか、監督の狙いはなんなのか、まったくわからん。
グリーングラスは『ブラディ・サンデー』や『ユナイテッド93』など、政治的題材を好んで映画に撮る。同じくグリーングラスが製作をアナウンスしている"They Marched Into Sunlight"はヴェトナム戦争ものである。デイヴィッド・マラニスによる同タイトルの原作は、北ヴェトナム軍の奇襲を受けた陸軍大隊とダウ・ケミカル(ナパームの製造元)に対する反対運動をするウィスコンシン大学の学生という2つのナラティヴから、ヴェトナム時代の引き裂かれたアメリカを浮き彫りにするといった内容。
ただ、グリーングラスは題材はポリティカルだが、映画そのものにおいては非政治的なデタッチメントを努めて保とうとしているように思える。『ブラディ・サンデー』のときには効果を発揮していると感じたが、『ユナイテッド93』ではこの中立性が少々猥褻に思えた。
うまく言えないが、『ブラディ・サンデー』、『ユナイテッド93』、"Imperial Life in the Emerald City"、"They Marched Into Sunlight"──どれも"controversial"な題材だが、その背後に控えている人物が見えないとでもいえばいいのか。