第二次レバノン戦争の中間報告書が発表

オルメルト内閣によって任命されたウィノグラッド委員会による第二次レバノン戦争の中間報告書が発表された。今回の報告書は戦争の最初の5日間が対象。それ以降の部分については夏に出る完全な報告書で扱われる。
報告書は戦争のデシジョン・メイキングに責任のあった3人──首相のエフード・オルメルト、国防相のアミール・ペレツ、参謀総長のダン・ハルツ──に対し、予想以上に厳しい言葉で批判している。


Eliyahu Winograd, the chairman of the committee, told a news conference: "We establish that these decisions and the way they were taken suffered from the most severe failures. We put the responsibility for these failures on the prime minister, the defense minister and the former chief of staff.

"If any one of them had acted in a different, better way, the decisions and the way they were made in the period in question, as well as the results of the campaign, would have been different and better."

イスラエルでは同種の調査委員会が政局の帰趨を決定したことが何度かある。例えば、ヨム=キプール戦争後のアグラナト委員会と第一次レバノン戦争時のカハン委員会である。
前者はイスラエルがエジプト・シリア軍の奇襲を受けたヨム=キプール戦争についての報告だが、当時首相のゴルダ・メイアと国防相のモシェ・ダヤンの責任について言及を回避した。これが国民の憤激を招き、両者の辞任に至った。後者はキリスト教民兵によるサブラ・シャティーラの虐殺について調査し、イスラエル軍のある程度の責任を認め、当時国防相だったアリエル・シャロンの辞任を勧告した。シャロンは辞任した。
特に前者と今回の状況はかなりの類似が見られるので、ウィノグラッド委員会が発足したときからアグラナト委員会の再現か? という考えは自分の頭にも浮かんだ。ただ、ウィノグラッド委員会と前二委員会では権限が異なるので、ウィノグラッド委員会に辞任を勧告する権限はないとも報道されている。
オルメルトは辞任しないといまだに言っているが、汚職疑惑などもあり支持率は一桁台を低迷。アミール・ペレツは五月の終わりごろかそれ以降に国防相を辞任すると発言している。なんにせよペレツは今度の労働党の総裁選に勝てないだろう。ハルツは1月にすでに辞任している。
オルメルトの辞任したとして、連立が維持できれば、後任は現外相のツィピ・リブニが有力視されている。選挙になれば、労働党は虫の息、カディマは大きく得票を落とすことは間違いないので、リクードイスラエル・ベイテヌ(参照)その他の連立ということになるのか? わからん。ともかくネタニヤフは勘弁してほしい*1

*1:イスラエルの大物政治家で誰が一番嫌いかというと群を抜いて文句なしにネタニヤフだ。