PMCの問題

Slateの記事。ブラックウォーター社や、上のイラク人拷問に関連しているらしいCACIやTitanなどの民間軍事会社について。もちろんこうした会社は以前からあって各地の紛争で活動していた。が、イラクでの運用のしかたはこれまでとはちょっと違うんじゃないかと思ってたところに明快な記事。以下は要約(といいつつも自分の考えが入り込んでる部分、訳語が適当な部分もあるので、できれば原文を読んでください)。
PMCはボスニアコソボアフガニスタンなどでは支援任務を担当していたが、イラクでは直接戦闘に参加している。そのためにいくつか問題が出てくる。
まず法的な地位。武装し、アメリカ政府のために活動しているので「非戦闘員」ではない(ジュネーブ条約第4条約)。だが制服を着用しておらず、正規の軍隊の構成員でもないので、ジュネーブ条約第3条約の規定にもあてはまらない。*1傭兵ですらない。国際法的な傭兵の定義は「当人の所属する政府が参加していない戦闘地域内で当人の所属する政府以外のために働いている個人」であるためだ。
もう一つの問題点は、守るべき軍規が存在しないことである。通常の兵士とは違い軍規ではなく、契約で定められたルールに従う。だがその契約条件が国防総省の弁護士などの調査を受けるわけではない。また米軍の統一軍事裁判法の管轄条項(jurisdictional article)では、軍隊の下で働く者や軍の随行者は軍事法廷で審問を受ける可能性があるとしているが、実際に民間人が軍事裁判にかけられた先例はほとんどない。法的に難しい問題を避けるために起訴が見送られたもある。それゆえPMCがたとえ(戦争)犯罪にかかわったとしても罰される可能性は低い。
軍の通常の命令系統に属してないために起こる問題もある。独立して活動することも多いので、連絡、報告、命令の伝達が十分に行われないこともしばしばであり、正規軍と適切な協調行動をとれないための危険もある。例えば4月4日のナジャフでCPAが攻撃を受けた際、ブラックウォーター社が敵を撃退した一件があるが、軍上層部が事態を把握したのは数時間後だった。
こうした問題の解決策として、司法省なり国防総省なりがPMCの法的な管轄を明確にすること、長期的なものとしてはジュネーブ条約の改定などが考えられる。

とりあえずここ掘り下げてみよう。"Corporate Warriors" ISBN:0801489156

*1:しかしジュネーブ第一追加議定書には武器の公然の携行という条件を満たしていれば戦闘員であるとしている。アメリカが批准してないからあてはまらん(だから言及もなし)のか? それとも別の前提条件があるのか? ちゃんと調べないとダメだな