ヴァーリイとギブスン
今更ながらジョン・ヴァーリイ「ブルー・シャンペン」とウィリアム・ギブスン「冬のマーケット」の親近性に気づいた。どっちも好きな作品なのに(前者のほうが好き)気づくのが遅すぎる。もうダメだ……
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チャールズ・ストロスの前歴
あ、思い出した。昨日〈特異点〉関連でいろいろまわってて見つけた記述。
AD&Dのギスヤンキ、ギスゼライ、スラードはストロスが雑誌の記事で導入したのがはじまりらしい。ストロスもいろいろやってるんだな。
In the 1970s and 1980s, Stross published some role-playing game articles for Advanced Dungeons & Dragons in the White Dwarf magazine. Some of his creatures, such as the githyanki (borrowed from George R. R. Martin's book, Dying of the Light), githzerai, and slaadi were later published in the Fiend Folio expansion and are still popular among gamers.
〈特異点〉wiki
チャールズ・ストロスによる〈特異点〉に関するwiki。やたらエフェクトの凝ったwikiだな。
〈特異点〉(Singularity)は1980年代にSF作家/数学者のヴァーナー・ヴィンジによって提唱されたコンセプト。数学や物理の特異点と区別するためにTechnological Singularityとも呼ばれる。
〈特異点〉とは、テクノロジーの幾何級数的進歩により、現今の人類では理解も予測もできない段階へ世界が到達する時点をさす。ヴィンジ自身の言をひけば「30年以内に、われわれは人間を超えた知性を生み出す技術的手段を得る。その後ほどなく、人類の時代は終わる」。このコンセプトは未来学者、SF作家に人気を博し、ムーアの法則を都合よく取り込んだりして、様々に発展させられた。
具体的にどのように〈特異点〉に到達するかは、AI説、ネットワーク知性説、アップロード説、ナノテク説、遺伝子改変したポストヒューマン説などいろいろな説がある。詳しくはWikipediaの項目を参照のこと。またヴィンジの元記事はこちら。
この話に関して、自分はSF作家ケン・マクラウドの"the Rapture for nerds"という評*1が的確だと思うけど、今のSF界では人気のある主題みたいだ。自分が読む種類のSFのからは外れているけど、たまたま読んだISBN:4150111685(ネタバレ注意)は今考えると〈特異点〉ものだった。
追記。偶然「注目URL」で関連ニュースが取り上げられていた。まさにこれ。
スタージョン・三の法則
そういえばトマス・ディッシュのSF論"The Dreams Our Stuff Is Made of"にこんな記述があった。
つまり『ヴィーナス・プラスX』のXはディッシュのことだったんだよ!
"It was there the one time I met Theodore Sturgeon and was persuaded to sample the nudist lifestyle and invited to stay overnight for a threesome with Mrs. Sturgeon(an opportunity I declined)."
……いや、なんとなくスタージョンは私生活は普通だと思いこんでいたのでびっくりしたわけで。このへんの奇矯な生活ぶりはSF界では有名だったのかな。
Turn left, turn right
ディッシュといえば彼のSF論"The Dreams Our Stuff Is Made Of"を読み中だが、予想に反して正統的なSF論になっていると思う。
いろいろ面白い話があったのだけど*1、一番驚いたのがこれだ。さて、以下のXは誰でしょう?
答え:ISBN:4150103453。まあ2つ目の文でわかっちゃうと思うが、驚愕の事実だな。
あるいはXを例にとってみよう。後にわが国(注:アメリカ)最大のSF作家と広く目されることになる男である。1938年、Xはカリフォルニア州の第51回州議会下院議員選出選挙の議席を狙って、民主党からの指名を得るため予備選挙に立候補していた。だが、民主党員の対抗馬はいなかったにもかかわらず、Xは総選挙に出馬できなかった。なぜなら現職下院議員であった共和党の候補者チャールズ・ライアンズが民主党側の候補者としても登録することに成功*2、両党の切符を手にしたライアンズは再選されたからだ。こうしてXの短い政治キャリアは終わった。
ライアンズが勝利した理由は十中八九、当時31歳だった相手がEPICと関係していたためである。EPIC(注:End Poverty in Californiaの略)は擬似社会主義的な第三政党で、小説家兼活動家のアプトン・シンクレアによって設立された。シンクレアがカリフォルニア州知事選に民主党から出馬したとき、両党の保守派は慌てふためき、彼を止めるためにあらゆる努力をはらった。ルーズベルト大統領は支持を取り下げた。映画スタジオは州から出ていくと脅迫した。未来の最高裁判所長官アール・ウォレン*3は宣言した。「これはもはやカリフォルニアにおける民主党と共和党の争いではない。急進主義と社会主義にたいするアメリカ国民とカリフォルニア住民の十字軍だ」。Xは最盛期には200万の発行部数を誇っていた政治的ニュースレター"Upton Sinclair's EPIC News"の編集者をしていた。加えてXはEPICが全国的運動として開始される前、憲章を書くためにシンクレアが選んだ6人のうちの1人だった。明らかにこの若者は単なる同調者ではなく、この通例では履歴から抹消されている時期について彼が口にしたように「中道民主党員」だったわけでもないのは確かである。
バリントン・ベイリー『ロボットの魂』ISBN:4488697046
ベイリーのくせに話がわかりやすいぞ! そこが不満……。哲学なり、人工知能なりをきっちり勉強しているのが目に付いてしまった。