"5 Truths About Darfur"

ダルフールに関してかなり突っ込んだ記事がWashington Postに掲載されていたのでリンク。
とりわけ最後の'The "genocide" label made it worse'は自分が書いたことに近いので参考として簡単に訳しておく。


5.ジェノサイドのレッテルは状況を悪くした
 世界各国の政府の多くがダルフールをジェノサイドに分類するのに一線を画している。ある者はこの紛争は民族浄化の問題だとする。他の者は政府の反乱鎮圧が行き過ぎたものだと描く。

 しかし、2004年9月、当時国務長官だったコリン・パウエルが紛争を「ジェノサイド」と呼んだ。だが、より強力な国際的行動を刺激するどころか、このレッテルはスーダンの反乱軍を力づけただけのようだ。反乱軍はスーダン政府と交渉する必要はないと信じ、攻撃を仕掛ければ、アメリカの支援が得られると考えた。和平交渉は7度決裂したが、その理由の一端は反乱軍が交渉から歩み去ったことにある。対して、スーダン政府はジェノサイドのレッテルを使って、自分たちはアメリカの反アラブ・反イスラム政策の次の犠牲者だと中東に売り込んだ。

 おそらく最も逆効果だったのは、アメリカが意味のある行動を続けて起こすのに失敗したことだ。「“ジェノサイド”という語は行動のための語(action word)ではなかった。責任からくる語(responsibility word)だった」国務省スーダン担当上級代表*1チャールズ・R・スナイダーは私にそう述べた。「倫理的、道徳的義務があり、ジェノサイドだという言明は我々がこの事態をどれほど真剣に受け止めているかを強調した」。ブッシュ政権が最近表明したNATOのアドバイザーを数百人送り、AUの平和維持部隊を支援するという考えは、ダルフール問題に関心を寄せる人々の多くが期待するものを大きく下回っている。

 「われわれは[ダルフールの紛争を]ジェノサイドと呼びながら、対テロや南北スーダンの和平で協力することで紛争の立役者たちを大いにもてなしている」議会調査部のアフリカ専門家*2テッド・ダンは言う。「あそこの状況を改善する方法がわかればと思う。だが、状況はただ悪くなるばかりだ」

追記:
そういえば、なぜ今の段階になってアメリカがダルフールに積極的になっているかについて、「ブッシュが個人的にダルフールにコミットしてるからだと思う」と友人に言ったら、反応悪かったな。
理由は、

  1. 2月のブッシュ大統領の「NATOのスチュワードシップ」発言は質疑応答のさいになされた(前もって準備されたものではない?)。
  2. その後の報道から、政権内、またはNATOとのあいだに相当の足並みの乱れが伺えたこと(コンセンサスがほとんどできてなかった)。

まあ、ほとんど思いつきで言ったのでちゃんと裏もとってないし、これを礎石に大伽藍を建てるつもりはないけども。

*1:the State Department's senior representative on Sudan

*2:Africa expert for the Congressional Research Service