Jon Courtenay Grimwood "Effendi"

前に読んだ"Pashazade"の続編、"Effendi"を読み終わった。
これはしかし続編というより上下巻と考えるべきだな。"Pashazade"の話が終わった日付の少し前から始まって、残されていたいくつかの疑問点がこの"Effendi"で解決されるし。そういうわけで下巻の解説を長々とするわけにはいかないけども少しだけ。
これ舞台設定は2050年ぐらいの近未来サイバーパンク風クライムノベルだけど、実際は現代世界の、しかも相当にポリティカルな話だな。今回の"Effendi"ではエル・イスカンドリア(アレクサンドリア)を狙うイスラムファンダメンタリストと西洋の大国に対する主人公の戦い、そしてアフリカの少年兵の問題がクローズアップされている。特に後者は筆致は抑制されてるけど作者の激しい怒りが透けてみえる。そこら辺の感情の乗せかたのさじ加減も非常に好ましい。いい作家だと思う。
そういや前の感想で書くの忘れたけど、『アレクサンドリア四重奏』は当然作者の念頭にあるんだろうな。本作の冒頭での、前作での事件の展開を別の人物の視点から描く手法で思い出した。舞台も、陰謀に次ぐ陰謀といったプロットも同じだし。

同シリーズの三作目"Felaheen"も買ってあるが、最近小説ばっかり読んでるのでノンフィクションをいくつか挿んでからだな。