コーエン兄弟がマイケル・シェイボンの"The Yiddish Policemen's Union"を映画化

"No Country for Old Men"が楽しみなコーエン兄弟マイケル・シェイボンの"The Yiddish Policemen's Union"asin:0007149824いうニュース。
原作はユダヤ人がアラスカに入植地を作る云々という背景設定をニュースで目にし、奇を衒っている感じがしてスルーしていたが、記事を読むと非常に面白そう。


The movie is set to be a noir thriller in the vein of Miller's Crossing. However, this is also an Alaska with a twist, as in the original book the state has been turned into a homeland for Jewish refugees displaced after the second world war, following the collapse of Israel. Decades later, the US government is considering displacing the Jewish settlers to return the land to Alaskan natives.
つまり、wikipediaのエントリも参照しながら書くと──
(以下、背景設定を書くのでネタバレが嫌な人は読まないように)

  • 難民(主にユダヤ人)の移住先としてアラスカを提供する40年代はじめのアメリカの計画(これは事実のようだ)が、反対していた有力議員の死によって実現する。
  • 結果、ホロコーストの犠牲者は200万人にとどまり、ユダヤ人虐殺に労力を割く必要のなかったナチスドイツはソ連を粉砕(後者は歴史的にはまったく説得力がない議論だが)。そのため大戦は46年まで続き、ベルリンへの核攻撃によって終結
  • イスラエルは48年の独立戦争に敗北し、その結果として起こった虐殺をシェイボンはほのめかす。
  • 満州は独立国のように言及されるため、日本の属国に留まっているのかもしれない。
  • ソヴィエトが無くなったので、ポーランドは「ポーランド自由国」として50年代に存在している。
  • 作品中の現在、福音派の合衆国大統領がアラスカを原住民に返還することを公約するとともに、“ネオ・シオニズム”の実現を目指している。

けっこう危険な設定だ。ユダヤ人団体から抗議されなかったのだろうか。
こういう設定だが、主人公は私立探偵で、ヘロイン中毒のチェスの達人がアラスカで殺された事件の調査がプロットの中心らしい。