イラク連邦化へ?

ここで触れたSCIRIのイラク連邦化に向けた動きだが、昨日イラク議会で法案が可決成立した。SCIRIとクルド人政党+α*1で140票の賛成票を集め、定員275名の議会の過半数をかろうじて達成。スンニ派政党、サドル運動、ファディーラ党はボイコットした。
だが、前のエントリで書いたとおり、スンニ派シーア派の対立がこれで深まるのは間違いない。SCIRIの目論見では、各地域連合が地域内で採取される石油・天然ガス歳入を得たうえ、独自の治安部隊も備えるという。イラクの現状を鑑みれば、この治安部隊は各セクト民兵が多くを占めることになり、イラク国軍より強力になるだろう。実質的な権力を地域連合が握るわけであり、もし法案賛成派の目論見通りにいけば連邦制は有名無実化し、最終的にはイラクは3つに分裂する結果になる。
ただ、法案の施行は最低18ヶ月後ということでシーア派スンニ派ともに先月同意している。最終的な着地点がどうなるかまだわからない。
追記。Historiae.orgで、法案について詳細かつ専門的な議論が成されている。同サイトのこのエントリも参照。そこの記述によると、SCIRIとクルド人政党で88票。残りはイヤド・アラウィの世俗派連合の25議席のうち何票か。加えてUIAのSCIRIでもサドル派でもない勢力(54議席)からもそれなりに賛成票を得たはずだという。アッダワ党は反連邦だったが、立場を変えた者もいる。

*1:あと約20票ほどをどこから集めてきたのか不明。アッダワ党か?