トニー・ヴァレリ『ミスター・ノーボディ』ASIN:B000065EIT

Hugoさんのところで取り上げられていて感想アップするのを忘れてたことを思い出した。1ヶ月前ぐらいに見た。
ボーレガード(ヘンリー・フォンダ)は西部でも並ぶ者のないガンマン。寄る年波に引退を考えていた矢先に、若いガンマン、ノーボディと出会う。ノーボディはボーレガードに憧れているといい、150人の大悪党軍団〈ワイルド・バンチ〉を倒して西部の伝説になれと持ちかけてボーレガードに付きまとう。

怪作。あまりの理解不能な展開に「たぶんこのノーボディってのは西部をつかさどる神で、ヘンリー・フォンダが西部の殿堂入りできるか試してるんだよ。150人の大悪党騎馬軍団〈ワイルド・バンチ〉を見事倒すと、西部のイデア界の門が開いて西部劇の歴代英雄がヘンリー・フォンダを手招きするに違いない」などと友だちと語り合いつつ見た。
あとは『オデュッセイア』以来*1のnobodyのダブルミーニングも面白い。床屋で襲われたボーレガードが驚異的な早撃ちで無法者3人を倒すと、床屋の息子が"Anybody faster than him?"と聞く。親父の答えは"Nobody!"(誰もいない/ノーボディだ)。画面が切り替わり……ノーボディ登場! このあともノーボディがボーレガードに言う台詞で、"If You go away, who's gonna be left? …… Nobody"(「あんたがいなくなったら、誰が残るかな? ……誰も残らんよ/ノーボディだ」)などなど。
真面目な考察だとこのページが勉強になる。
ノーボディ役のテレンス・ヒルが男惚れするほど輝いてたけど、この人ほかにろくな映画でてないんだな……。

*1:サイクロプスのポリューペモスに捕まったオデュッセウスは、自分の名前はウーティス(nobody)だと告げる。後になってポリューペモスはオデュッセウスに1つ目を潰され、仲間のサイクロプスが誰にやられたか聞くと、ポリューペモスの答えは……"nobody!"