スマーフ狩り(Telegraph)
Boing Boingより。
ベルギーは有数のカートゥーン産出国であり、何人もの世界的に名の知れたキャラクターがこの地で産声をあげた。タンタン、ラッキー・ルーク、そしてスマーフ。
このたびスマーフ初の大人向けエピソードが発表された。ここのリンクから一部を見ることができる。
おなじみのマッシュルーム型をした家がならぶ平和なスマーフの村。スマーフたちは手に手を取り輪になってキャンプファイヤーを囲み、歌い、踊る。村をとりまく森ではウサギが跳ね、空を鳥がさえずりながらとびすさる。──突然、空から爆弾が雨のように降りそそぐ。スマーフはちりぢりになって逃げまどうが、甲斐はない。爆弾が次々と炸裂し、炎があたりを包む。やけどを負い、傷だらけになった赤ちゃんスマーフが痛みと恐怖で泣きつづけるが、倒れたスマーフたちは動かない。
最後の1コマは水色の背景に白い字のメッセージ。「子どもたちの生活を戦争の影響から守れ」
このエピソード、実はUNICEFのコマーシャル広告。UNICEFのベルギー支部による資金集めのキャンペーンの一環だ。キャンペーンで集めた寄付金はブルンディの子ども兵のリハビリに使われる。UNICEFのスポークスマンは語る。「第三世界の紛争地帯における人々の苦しみを撮影した昔ながらの映像は、テレビの視聴者に訴える力を失ってしまいました。そこで何とかして視聴者にショックを与えるべく、このキャンペーンに取りかかったんです。論議の的となることは承知しています(大意)」
この冒険的キャンペーンの裏には広告代理店がいる。UNICEFと契約を結んだ広告代理店Publicisは、「戦争が子どもたちに与える影響を最大限に伝えるには、ベルギーの視聴者が胸にいだく幼い頃の幸せな記憶に触れるしかない」と結論した。ただ、できあがった映像はPublicisの提案よりかなりトーンダウンされているという。「われわれは本物の戦争を望みました。スマーフが手を失うとか、首を飛ばされるとか。UNICEFの答えはノーでした」