ジャック・ウォマック "Ambient"メモ

祭りに向けて"Going,Going,Gone"を読もうと思っていたが、時間的に無理っぽいので"Ambient"再々読に変更。すべて理解するつもりで読む。
はっきりとしたネタバレはできるだけしませんが、未読の人は読まないほうがいいでしょう。というより未読の人が読んでも意味不明だと思う。

以下は主に言葉のレベルでの疑問点や気づいたことのメモ。ページはGrove Press版。

  • p4,"More than I burned" いきなりよくわからない。後ろの文とセミコロンで繋がっているのでtoast nut-brownにかかっている? オマリイの膚の色との比較? けどオマリイ、名前からしアイルランド系だよね。
  • p7, their own flowは前文のscarlet-dyed water...unseasing torrentsにかかってるので、敷衍すればblood flowか。
  • p15,"a kid allowed to dust the candy in the big window."よくわからん表現だ。
  • p19,"Marielize Atlantic City" マリエル難民をほのめかすか? p22のリナルドの背景描写も参照。マリエル難民といえば『スカーフェイス』もそうですね。
  • p22,owners,boozhies,the Superfluousは社会階級。ownerは地の文に紛れ込みやすいが、この点をおさえるとわかりよくなる文が結構ある。
  • p22,toderecho.>todo derecho - all rightか。
  • p25,porfav>por favor - please。
  • p27,peñejo,No me hoda,同じく調べがつかず。hodaは十中八九"way"だとおもうけど(ギリシア語でhodosがway)。
  • p28,Kap?,これもわからんなあ。Kが使われているってことはスペイン語ではないと思うが。文脈からすればunderstand?とかright?なのかも。
  • p30,eat you for breakfast>have sb for breakfastと同義か。
  • p30,Lola! "Well I'm not the world's most passionate guy / But when I looked in her eyes well I almost fell for my Lola"(Kinks "Lola"より)。ウォマックはほんとひどい奴だ。
  • 第3章。the GreenとBronx化。この辺NYCの土地勘がないとよくわからないな。
  • p41,"He'll gotterdam it all." gotterdamって神々の黄昏(Götterdämmerung)の動詞化かよ。
  • p55,Druzhinaはロシア語で"Detachment"(分遣隊)らしい。ここを参照。
  • p55,Johnny-in-the-pony,普通johnny on the ponyだよな。これはつまり……
  • p56,ここのmollieの用法を見ると、mollieは爆弾か地雷か何かなのか?(p3を参照)
  • p58,hough。未詳。綴り的には英語の可能性が高いが、意味はうまくはまらない。
  • p58,windsored。これもわからず。wind+soreでいいのか。
  • p58,atow=in tow。
  • p58,lowlying。lie low?
  • p59,bibtuck,"bib and tucker"(服)からの逆成っぽい。
  • p59,flash。このflashは『スタン・ザ・フラッシャー』のflashだな。
  • p61,オマリイとイーニッドは約190cm。ってことはジミーは210cmぐらい。確かにmaginificentだ。
  • p62,63。p63の"We cats awayed"とあるように、マーゴットはここでの会話中自分とイーニッドを猫に見立てて、猫っぽい表現を多用している。
  • p64,hellraked。rakehell(放蕩者、遊び人)から。話はかわるがovercomeやwithstandのような、なんていったらいいか逆にしても通じる系(come over/stand with)は古英語<ゲルマン語起源なんだな。
  • p66,"under the Equality Acts ours was not a society to favor the exploitation of women over any other group equally available." 素晴らしき新世界!
  • p66,"Sauce for drake's duckling,then."よくわからん比喩。
  • p81-p82,さらっと流されてるがオマリイ、オレンジとリンゴをイーニッドの頭に植わった爪に刺したのか。情景を想像すると……。
  • p83,このシーンが大好きだ。ここはまたラストに繋がっているのだな。
  • 第6,7,8章は疑問点ほとんどなーし。
  • p127,yon and hith>yonder and hither
  • p134,萌え。"Ambient"はオマリイ萌え小説であることを再確認。
  • p136,The Serena,夜、夜霧の擬人化? p161も参照。と思ったらp71に解説あったよ。
  • p158,exigesis,普通はexegesis。
  • アンビエントの言葉はこのa-が多用される。
  • p166-167,アンビエントによる山上の垂訓!
  • p173-174,このエピソードが"Random acts of senseless violence"に繋がるわけか。
  • p177,essent。essentialの動詞化。これ以降のシリーズではessentialがそのまま動詞になっている。ポスト文学の表現については、"Ambient"はまだまだいきあたりばったりの要素が多い。
  • p184-,大佐。なんともまともな感情を吐露するので、別の世界の登場人物みたいだ。
  • p194,Venaqui。Ven aqui(come here)。
  • p209,ジミーのラスタ系語彙についてはここを参照した。
  • p235,NIHIL OBSTAT ALIENUM PUTO。nihil obstatはカトリック用語で書物の「無罪証明」。alienum putoはテレンティウスの有名な語句の引用。つまり「無罪証明など私には無縁だ」のような意味か。
  • p237,"cave canem"。ラテン語。犬に注意。ポンペイの遺跡で発掘された犬のモザイクに刻まれていた語句として有名。
  • p258,caveat emptor。商業用語。リスクを買い手が負担すること。
  • p259,そして最終パラグラフ。"There was always choice in an Ambient world."