『チェチェン やめられない戦争』 ISBN:4140808918

前々からバサーエフが何を考えているか理解できなかったが、今日配信された「チェチェンニュース」(メルマガ・購読はこちらから)には上掲書の紹介の流れではっきりこう書かれている。

抵抗を続けるチェチェンの独立派はどうか。国民と国際世論に活発に訴えるよりも、地下に追われて沈黙することを選ぶようになってしまった大統領マスハドフ。金(とおそらく特殊な名誉欲)のためにどんなことでもする野戦司令官バサーエフ、そして、中東からの資金を取り次ぐことで最後まで彼を支えたハッターブ。

うーん、ずばっと言ったね。*1自分なんかはゲリラ戦の闘士! 野戦司令官! なんていわれたらつい条件反射的尊敬を抱いてしまいがちだが、バサーエフにはやっぱり割り切れないものを感じていた。コーカサス連邦設立をぶちあげてみたり、ジハード的言辞を弄したり、切り離すべき問題を一つにして、チェチェン独立から遠ざかるほう遠ざかるほうへ舵を切っているというか。特にチェチェン共和国第一回大統領選挙でマスハドフに敗れてからはもう支離滅裂。ハッターブと共に独断で行い、第二次チェチェン戦争の引き金となったダゲスタン侵攻なんかその最たるものだ。チェチェン共和国(独立派)の大統領マスハドフや亡命中の文化情報相ザカーエフは比較的まともな人物に感じられるんだが、バサーエフがいるかぎり戦争は絶対に終わらない気が。

まあとりあえず、上の本は非常に面白そうだし、かなり啓発的っぽいので買って読んでみよう。

*1:自分としては権力欲というか、ある種メガロマニアックな英雄願望のほうが強いように考えている。ただこれはバサーエフ略歴で「ゲバラのポスターを部屋に貼っていた」というの目にしたため、その印象に引きずられているためかもしれない。