フランスの著名予審判事、ルワンダ高官を訴追

フランスの著名な予審判事ジャン=ルイ・ブリュギエールは、現ルワンダ大統領ポール・カガメが1994年のジェノサイドの引き金となった大統領機撃墜を命じたと結論をくだした。ブリュギエールはルワンダ政府高官9名に対し、国際逮捕状を請求中。この9名のなかにはルワンダ参謀総長と陸軍参謀長が含まれている。
ブリュギエールが捜査を開始したのは、大統領機のクルーとして搭乗していたフランス人の遺族に要求されたため。
フランスの法は国家元首に免責特権を与えているため、ポール・カガメを起訴することはできない。そのためブリュギエールはルワンダ国際戦犯法廷(ICTR)でカガメを裁くことをアナン国連事務総長に要求する予定。*1
ジャン=ルイ・ブリュギエールの調査自体はル・モンドで報じられたりするなどして、かなり前から知られていた。自分のブログで関連するのは以下。

wikipediaのフランス語のエントリが大統領機撃墜について様々な仮説のかなりよくできた概説を提供している。英語版は質が劣る。
ブリュギエールの中心となる証拠は、証言と撃墜に使用されたSAMに関する物証だと報道されている。SAMについて同様の仮説は以前からあり、ジェラール・プルニエの著書でも検討されている。


While the flight data recorder recovered at the crash site yielded little information, parts of the two missiles that had caused the crash helped investigators trace them back to a Soviet shipment of 40 missiles sold in 1987 to the Ugandan Army, which had close ties to Kagame's rebels.

Another missile, believed to have been used by the Rwandan Patriotic Front, Kagame's rebel group, to shoot down a helicopter near Mulindi in 1990, was from the same shipment of 40, the report said.

正直に言えば、カガメとRPFがこの件では無実であることを望む。別にRPFを理想化しているわけではない。これが真実だとすると、あまりに救いがないからだ。
当時の状況で大統領機を撃墜すれば、ルワンダ国内のツチが多数殺害されることになるというのは誰の目にも明らかだった。ブリュギエールが正しいとするならば、RPFは交戦を再開して権力を完全に奪取するために、国内のツチを犠牲にしたということになる。おそらくあの規模の殺戮は予期していなかったとは言えるかもしれないが、そんなことはなんの慰めにもならないだろう。
追記。L'expressの記事が今のところ一番詳しいようだ。ジェラール・プルニエなど、主題について十分な知識のある人間のコメントが知りたい。

*1:ただ、ICTRは国連から独立しているから、事務総長が何かを命じたりできないはずだが。