ダラス近郊で発生した「携挙」(Rapture)


 すなわち、合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降(くだ)って来られます。すると、キリストに結ばれて死んだ人たちが、まず最初に復活し、それから、私たち生き残っている者が、空中で主と出会うために。彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられます。このようにして、わたしたちはいつまでも主とともにいることになります。
ルーディ・ラッカーの短編「宇宙の恍惚」"Rapture in Spece"*1のタイトルは、この「携挙」のパロディだとついこのあいだ気がついた。

*1:ねずみ講用自動テレフォンマシーンで投資者を募り、宇宙空間でのゼロGセックスを撮って販売するベンチャービジネスのお話。

ティム・パワーズの旧作のあらすじ。

Salonでティム・パワーズの新作短編集"Strange Itineraries"の書評が上がってたけど、簡単に触れられた旧作2つのほうが面白そうだな。最近ハードな本ばっかり読んでるから、ペーパーバックの娯楽ものが読みたいなと思ってて。

下のは似たようなことやってる作家がいたな。

『キリンヤガ』はどうなの?

アフリカとSFってことでマイク・レズニック『キリンヤガ』ISBN:415011272X?って聞かれたけど……。自分『キリンヤガ』嫌いなんだよな。そもそも設定*1からして嫌ったらしいし。特に連作短編中最高と評価される「空にふれた少女」なんか、主人公が最後にする偽善的な独白に腹が立ったあまり本を壁に投げた。しかし、ネットでざっと検索すると絶賛の嵐なんだよなあ。自分が気難しいだけなのか。結局のところ最後まで読んだわけだし、レズニックに筆力はあるのだろうが。後半は主人公の敵のマサイ族を応援。
確認のためにパラパラ読もうと思ったが本がなかった。今読むと違う感想かもしれん。

*1:テラフォーミングした小惑星ケニアのキクユ族のユートピアを建設。そこで望んだキクユ族が伝統に従った生活を営む。主人公はケンブリッジやらイェールやら出たキクユ族で、テラフォーミングのコンピュータを操作するなどしてユートピアの維持に務める。主人公はこのユートピアの人工性を知る特権的立場にあり、それがまた偽善的。

 シオドア・スタージョン『輝く断片』ISBN:4309621864

おもしろすぎて一気に読み終えてしまった。もったいない。今までの短編集の中で一番作品の平均点が高いと思った。でも、あいかわらずオチは唐突な短編が多い。「ミドリザルとの情事」は「メタファーかと思ったらメタファーじゃなかった!」ってオチ?
しかし帯の「おれやる、全部やる…。」を読んで、「いやあ全部か……。やっぱディッシュに3Pを持ちかける男は違うな。全部ってどこまでなんだろうな? 順番間違えると全部できないぞ」と思ったことを話したら変態扱いだった。
そういや話はかわるけど、同作品中の「うーん、アンクル(政府)はおまえにゃ用はないな」はスタージョン自身が経験したことだよな。
あとがき読んだら、晶文社からも若島正編の短編集第2弾が出る予定らしい。ディレーニイが"The Complete Stories of Theodore Sturgeon Volume II"の序文で「政治的な悪の働きに関する巧みな分析」と激賞していた「英雄コステロ氏」の収録を期待。

チャールズ・ストロス『アッチェレランド』

は上でダウンロードできるようになってた(id:ita:20050626#p1経由)。Creative Commonsでライセンスされているけど、NoDerivativeだから翻訳は勝手にできないやつだな。